発達診断・WISC検査の本当の目的とは
大阪高槻 子育て相談サロンMiyabi 代表のかとうひろみです。
今週は、私が高槻ブランチとしてお話会を担当させていただいている、NPO法人こずえのつぼみのブランチ会(各ブランチ担当者が集まって話す会)でした。
こずえのつぼみの理念は、
子どもたちの未来のために「いつも笑顔で子どもたちを温める」。
その理念のもとに、子どもに関わるすべての大人に寄り添い、サポートされています。
ブランチ担当者はそれぞれ、その理念に賛同し、自分にできることで参加している方々なのです。
今回のブランチミーティングで大きく学びになったのは、外国での発達障がいの捉え方について。そもそも北米では発達障がいなんて表現じゃなく、ニューロ(神経)ダイバーシティ(多様性)と呼ぶと聞いてびっくり!他にもこんなお話を伺うことができました。
1つ目。
日本では学習障害(Learning Disability)と呼ばれている特性も、北米ではLearning Differenceという捉え方とのこと。Difference=違い、なんですね。つまり、違う学び方が必要、という認識。めちゃくちゃしっくりきました。
一斉に同じ学び方をして、ぐんぐん習得できる子もいれば、違う方法や時間のかけ方で習得できる子もいる。1人の先生の授業で全員が同じように理解できないのは、何もおかしいことではないのです。そこで理解できないと、「理解度が足りない」「学習能力の問題」と決めつけてしまうのは、とてももったいないですね。
2つ目。
発達障がいの診断時に用いられるWISC検査。これについても、日本では苦手な部分、何ができないかをみることにフォーカスしがちです(全ての医療機関がそうではありません)が、欧州では、才能を見つける1つの手段として受けるので、人気で順番待ち状態になっているそうなのです。
障がいを探すためやデコボコの凹の部分を見つけるためではなく、
才能を見つける、デコボコの凸の部分を見つけるため。
素敵ですよね(^^♪

こういったお話を親御さんにした際、「得意なことが見つかっても、それで食べていけなかったらどうするんですか?将来に活かせるようなことじゃなかったら、あまり意味がないのでは?」といったことをよく言われます。
そうおっしゃるのは、大切なお子さんの将来をうんと心配してのことなのだと思います。お子さんが大事だからこそ、自立できることに向かって能力や時間を費やしてほしいと思われるのですよね。
でも、ここで大事なのは、得意なことや才能を見つけることは、将来の仕事に直結しなくても良いということ。もちろん、将来の仕事の小さな種になるかもしれないと思うことは必要です。
だけど、絵が得意=画家になる、みたいな発想だと「そんなの無理。画家で食べていけるほどの才能じゃないかもしれない。世の中そんなに甘くない・・」というネガティブ発想になっちゃいますよね。
そこまで一足飛びをしない。
例えば・・絵が得意なら、絵で表現できる場を持っているということ。言葉だけじゃなく、自己表現ができる手段をちゃんと持っている、そしてそれが得意である、そこに気づくことが大事なのです。
また、耳で聞いたことを記憶するのが苦手でも目で見たもの覚えるのが得意だということがわかったのであれば、今日からの情報伝達の仕方を変えてあげるだけで、各段に本人が生きやすくなります。そして周りへのサポートも求めやすくなりますね。
そうやって、今現在、本人の生きやすさ、わかりやすさ、安心につながるものを探すためのものが、検査や診断じゃないかと私は思うのです。
苦手を知るのも大事。そこを何でカバーしていくか、サポートしていくかを知ることができるから。ただ、そこばかりに気を取られるのではなく、得意なことや才能を見つけて、じっくりゆっくり伸ばしていけば、次第に苦手は気にならなくなります。
それは発達障がいがある・なし関係ありません。どの人も同じなのです。
ちょっと余談になりますが、私は去年から楽器を習い始めました。ヘルマンハープという楽器です。ヘルマンハープとは、ドイツのヘルマン氏がダウン症の我が子が音楽を楽しめるようにと作った楽器。音色は言葉では表現できないほど美しいのです。

私は親友からこの楽器のことを教えてもらいましたが、なんせ学生時代は音楽の授業が大の苦手でしたし、音符アレルギー。リズム感もほぼゼロです。「音符が読めなくても弾ける楽器」というので始めましたが、やはり大苦戦しています。
先生からは「加藤さん、ほんっとにできないのねー(笑)」と言われています。例えば、「手の使い方はこうやって」とアドバイスをもらうと、もうそれに気をとられてリズムがわからなくなる。「弾くときの姿勢はこう」と教えられると、もうそればかり気にして弾けなくなる。
自分で自分が笑えて仕方ありません。だけど、まったく「自分はダメだ」とは思わないのです。だって、私は得意な場面でのダメじゃない自分を知っているから。
子育ての相談をされたとき、ちゃんと真摯に向き合ってお話を伺い、安心をお届けしている(はず)。
婚活カウンセラーをしていたときも、ご相談に寄り添いご成婚に結び付けてきた。
そういった「得意」があるからこそ、自分のダメな部分にも挑戦できるチカラが湧いてくるのです。
だから、ダメを先に知るよりも、本人の得意を知ることが大事。
私たち親ができるのは、その得意をうんと認めてあげること。そうすることで、子どもたちは、苦手が10あっても得意が1あることで「大丈夫」って思えるものなのです。
お子さんを大事に思うからこそ、未来を見据えたいと考えるのはめちゃくちゃよくわかります。
だったら、まずは「今」を大切にしましょうね。「今」の積み重ねが「未来」ですから。
お子さんの未来が不安。そんなときは、まずお話しにいらしてくださいね。
私もまったく同じように不安を抱えて子育てしてきましたから(^^)
