ASDの息子がくれた、成長の感動

大阪高槻 子育て相談サロンMiyabi 代表のかとうひろみです。
先週は、長男が自閉スペクトラム症を診察していただいている病院の通院日でした。私は毎回同行しています。

今年は障害年金の更新手続きの年でもあるので、病院の先生とはしっかり連携をとって、現状をお伝えしておく必要があります。

通院の日は毎回、私が車で独り暮らしの長男を迎えにいき、どこかでランチをして病院、そしてスーパーにも寄って日用品や食料を買います。

また、季節ごとに替えるタオルケットや毛布・シーツなど、長男のアパートでは洗って干せないものを私が持って帰って洗濯してあげており、今回も洗濯し終わったシーツなどを抱えて長男宅へ。

いつまでも甘やかしているなぁ・・とちょっと反省しながらも、「これくらい、いいじゃないか。」と、いそいそ運びます。

今回もお昼ごろに長男宅に到着。玄関のチャイムを押すと、トイレ中だったのを途中で出てきてくれたようで、鍵を開けたらすぐにまたトイレに駆け込んでおりました。しばし待つこと5分。

今回は病院に自立支援医療受給者証を持っていかなければならないので、忘れないよう忠告。
※自立支援医療制度・・精神・身体障害の治療において発生する医療費負担を軽減してもらえる制度

それから二人でイオンモールへ。道中、車の中で近況を聞きます。通院日は平日なので、長男はいつも有給休暇をもらいます。平日に休むことはあまりないので、今日こそは!と壊れたモバイルバッテリーを市のクリーンセンターに引き取ってもらいに行ったとのこと。

うんうん、ちゃんとしているなあ。感心(^^)
クリーンセンターはちょっと遠くて、かなりきつい坂の上にあるのですが、チャリを飛ばして行ってきたそうです。しかし、肝心の本体を忘れて行ってしまった。と残念そうに語っていました。

イオンモール到着。お昼ご飯を長男のチョイスに任せたら、神座のラーメンに決定。二人で大きなどんぶりのラーメンをすすりました。長男は食事の際、よほどのことがない限りお皿が綺麗になるまで全部食べます。もちろん、水も全部飲み切ります。この日もラーメンの汁は1滴も残さず完食です。塩分とり過ぎ💦

食後、口を拭く紙ナフキンを探しに行き、私の分も持ってきてくれました。素晴らしい気遣い!いいぞ、我が子よ!お口を拭いて、私は当然のようにトレーに使用後の紙ナフキンを置いたのですが、長男はカバンの中からビニール袋を出し、そこにゴミを入れていました。

「最近これ持ち歩いている。捨てるところないときあるから。」と。うぉぉぉーー!!なんと!!この子は誰の子なの?!ちゃんとしてる!!めちゃ、ちゃんとしてる!!


離れて暮らしているからこそ見える息子の素晴らしさ。でも、それだけじゃなく、やはり社会生活の中で、今どんどん成長してくれているのだなぁと、ありがたい気持ちでいっぱいになりました。

病院に着くと、持ってきたはずの自立支援医療受給者証が過去の古いものだったようで、少々慌てていましたが、「次回で良いですよ」と受付のお姉さんに言っていただきました。それでも、「家に帰ったらすぐに新しいのがあるか探す!」と気になっているようでした。

診察室に入ると、いつもの担当の先生が、「こんにちは。どうですか、最近の調子は。」との質問。

「最近どうですか?」の質問は、自閉スペクトラム症の人にはとっても困る質問なんだけどなぁ・・と毎回思うのです。でも、もしかしたら、どう答えるのか?を見ておられるのだろうか・・?とも思ったり。

長男は、「・・・・。あ、え、あの・・」と困りながら、仕事のことなど、ひとしきりの先生と長男とのQ&Aがあり、先生は最後に「何か今困っていることはないですか?」と質問されました。長男は「あ、経済面です。」

私も先生も苦笑いしながら、「そうですか。そんなに大変ですか。」というと、「はい。この物価高では・・。」と長男。そうだよね、節約いっぱいしてるもんね。頑張ってるもんね。と心でよしよしする私。

先生が、「じゃあ、たまの贅沢って何ですか?」と聞くと、「焼肉です。」
「どんな焼肉やさんですか?」「ワンカルビです。」
「いくらくらいですか?」「4000円くらいです。前は3000円ちょっとで食べれたのに値上がりした。」
「誰と行くのですか?」「一人です。」

ドライな先生と、淡々と答える長男。その会話がなんとも面白くて、横で私はニヤニヤ聞いていました。

そして、次回の通院日を決める際のこと。
運送関係の会社で働いている長男は、「お中元の時期は会社が忙しいから外してほしい」と言いました。
すごい!!会社のことを考えている!!そして未来の予測もするようになっている!!成長している!!

これぞ、貢献感の表れではないか。
嬉しいなぁ。こんなふうに考えられるようになったんだなぁ。

そして帰りにスーパーに寄ったときのこと。スーパーの駐車場に、誰かが荷物を運んでそのままにしたカートが残っていました。それを見つけて長男は、カート置き場に置きに行っていました。



うううう、今日はなんと素晴らしい日だろう。我が子の成長をたくさん見ることができて、感謝いっぱいの1日じゃないか。
そんなふうに感動しながら帰りの車を走らせました。

いつまでも手のかかる子。そんなイメージを持ち続けてきたけれど、もうそうじゃないんですね。もちろん、今日このブログに書いたようなことは、一般的な30才の息子を持つ親御さんには「は?」みたいな出来事だと思います。

しかるべき場所に不要なものを捨てに行けたり、ごみを持ち帰ったり、医者との会話がうまくできたり、仕事の状況を考えてスケジュールを立てたり、自分のものじゃなくても物をあるべき場所に戻したり、
そんなことは30才の大人なら誰もがやれていることだけど、私にとっては感激と感動です(^^)

「すばらしい心がけやね。」と褒めると、「いや、そこにあったから。」と、これまた淡々と言う長男。ありがとうね、こんな感動をくれて。

今日、なぜこんなことをブログに書いたかと言うと、決して息子自慢をしたいのではなく、知ってほしいのです。今現在、我が子の心の状態、自分の心の状態が上向きになれず、周りの環境や人からの評価に苦しんでいたとしても、大丈夫ってことを。

長い長いトンネルにいて、このトンネルは永遠のように思える日があります。私も、「このままではお先真っ暗・・。私はこんなにツライのに、この子は何を頑張ってるというの?!息子の自立なんてきっと叶わない夢なんやわ。」と本気で思っていました。

でも、いつまでも同じ状態なんかじゃない。ほんっとに、少しずつ、少しずつなんです。

人って、無意識だけどみんな成長したいと思っています。今がしんどいなら、変わりたいって願っています。でも、私たちは子どものときから「正解」をもらうことに慣れていて、マニュアルがないとどうしていいかわからない。

これをやったらいい。そんな魔法があることを願っちゃうんですけど、正直それはないのです。でもただ1つ言えるのは、まずは親の私たちが我が子の目線になること、その目線で向き合ってみること。

教えてあげる人、忠告してあげる人、という立場からだと、自分は変わらないで相手(我が子)だけを変えようとすることになるからなのです。

私たち親のものの見方しだいで、見える景色はうんと変わります。我が家はそこから動きだしました。
どうやって??と思われる方は、どうぞいつでもご相談にお越しくださいね。お待ちしていますよ。

帰り際に、「ゴールデンウイークはお休みじゃないの?」と聞くと、「ない。その会話はもう数えきれないほどした。」とご指摘をうけた母でした。

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